WTO事務局長選、トランプ政権の土壇場での「ユ・ミョンヒ支持」どんな影響か

世界貿易機関(WTO)の次期事務局長の最終選出は、ひとまず米大統領選挙(11月3日)以降に持ち越された。164の加盟国のうち多数がナイジェリアのヌゴジ・オコンジョイウェアラ候補を支持し、WTO一般理事会もオコンジョイウェアラ候補で合意のうえ進めようと提案している状況において、韓国候補のユ・ミョンヒ本部長が米国による土壇場での「ユ・ミョンヒ支持」と米国の大統領選という外部環境の変化の中で、果たして奇跡のような土壇場の逆転劇を起こし得るのか、気がかりなところだ。現在のところ、局面は霧に包まれている。  WTOは韓国時間の28日夜11時頃(現地時間午後3時)、スイス・ジュネーブの本部で164カ国のジュネーブ駐在大使の全員参加による全体会議を開き、ここ10日あまり調査を行った結果、オコンジョイウェアラ候補がより多くの支持を得たと公表した。最終決選ラウンドに進んだ両候補の具体的な選好度得票数は公開せず、「最も選好度が高いとしてコンセンサスを得た(most likely attractive consensus)のはナイジェリア候補」と公表したという。韓国政府関係者は「WTOの伝統と慣例上、相手候補の自尊心を考慮して両候補の具体的な得票数は明らかにしない」と述べた。ただし、外信によると、ジュネーブ内外で流れた支持率は、オコンジョイウェアラ候補が164の加盟国のうち96~104票ほどを得たと推定される。韓国政府は「支持する候補を提示せず棄権した国があるかどうかを知ることは困難」と述べた。  特にこの日の全体会議で、今回の事務局長選挙を管掌する3人のトロイカ(一般理事会(GC)のデビッド・ウォーカー議長、紛争解決機関(DSB)のダシオ・カスティーヨ議長、貿易政策検討機関(TPRB)のハラルド・アスペランド議長)や、欧州連合(EU、27カ国)、中国など一部の加盟国は、より多くの支持を得たオコンジョイウェアラ候補を事務局長に最終的に推すことを提案したと伝えられている。しかし、それを受けて米国が公式に意見の相違を表明するとともに「ユ・ミョンヒ支持」を強く打ち出したことで、局面が緊迫した。WTOのキース・ロックウェル報道官は全体会議後、記者団に「ある代表団が(会議で)オコンジョイウェアラの立候補を支持することはできず、引き続き韓国のユ・ミョンヒ本部長を支持すると述べた。その代表団は米国だった」と明らかにした。米国がオコンジョイウェアラ候補に反対すると、WTO議長団(トロイカ)は「11月9日までに最終選出者を決める」と一歩引いたという。WTO事務局長は、すべての加盟国のコンセンサス(意見一致)を得ないと最終選出されない。したがって米国はもちろん、韓国やナイジェリアも最終候補に同意せねばならない。事実上、米大統領選の直後まで時間をかけて協議を進めようということだが、11月9日に延ばしたのは、米国と韓国の説得を続け、譲歩を引き出すという趣旨と解釈される。